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インタビュー:自然栽培のスープについて

エグゼクティブ・プロデューサーの心の友である名シェフに、「Lastra MANA」のプレミアムスープについてお話を伺いました。

Lastra MANAへの想い

インタビュアー:このたびのLastra MANAの企画は、もうすでにご引退されているところにMARTHからお声がけしたということがきっかけですが…そのときの想いをお聞かせください。

川村和敏シェフ(以下、和さん):想いっていうよりも、自分がこのように体をちょっと具合を悪くしていたので…やる以上は、中途半端ではやりたくないな、という感覚ですね。それしかないです。

インタビュアー:このたび和さんのことをMARTHがくどきおとして、このお仕事をスタートされましたが、始められてから和さんがとてもいきいきとされている感じがとてもしています。

和さん:楽しいですよ。楽しいです。自然なものを創って、身体の悪い方とかいろんな方に喜んでもらえることを考えると楽しいです。

インタビュアー:第二の人生!といった印象が非常にあります。

和さん:はい、今楽しくしないと美味しいものはできませんからね。そういうような感覚で、自分の料理に対する考えも変わりました。

インタビュアー:それはどんなところが変わったのですか?

和さん:やはりそれは、いい加減とかではなく、「これはこういう風な味でいい」じゃなく、この自然栽培の持っている味をどうやって出してあげようかとか、そういったところを自分が考えるところです。それは面白みもありますが、まだまだ自分の勉強不足もあります。

今までの食材と、自然栽培を使った食材の違いとは…

和さん:やはり自然栽培の野菜ですと泥臭さというか、昔の自然の野菜の香り、くさみ、そういったものが自然に残っているわけですよね。消毒していないわけですから泥臭さもあるし、それをやはり丁寧にやると、のどごしが素直にのどへ流れるような感じで飲めると思うのですよ。
なんというのかな…優しさがあるっていうのかな。その自然にできたものに対して優しく作ってあげれば本当のその自然栽培の旨さが、料理が出てくるんだなぁというように、今は思っています。

インタビュアー:今、優しさとおっしゃいましたが、それは味見したりするなかで現れてくるのでしょうか。

和さん:そうです。柔らかさが…野菜に対する優しさがあります。

インタビュアー:先程お話にも出ていましたが、自然栽培の野菜たちのもつ、その野菜の匂いや香りをどのように活かしておられるのでしょうか。

和さん:その…香りが自然栽培の野菜と普通の市販されている野菜の違いというのは、香りも強いですね。その部分はスープとしても味自体を出そうとすると、逆に言えば出しやすいかもしれません。
デパートとか八百屋さんで売っている野菜のほうが、なんというのか水っぽい風味があるし、ひとつの野菜の味がないというんですかね。しかし自然栽培の場合はひとつのものの、その時期的なものの野菜の味を持っているから、それをうまく引き出してあげれることで、美味しいものが出来ると思うんですよね。

身体が喜ぶ のどごしの秘訣とは

インタビュアー:先程のどごしとおっしゃられましたが、具体的にはどのような感じですか?

和さん:のどごしというのは流れる感覚というんですかね。喉にひっつかないような自然のクリームとか牛乳とかバターでも、そういった調合したものに対しても、口の中での流れっていうのか、ひっかからないというんですかね。お料理の香りを嗅いで、口の中に入って、のどにずーっと伝わる流れというのでしょうか。そういうものだと僕は想います。

インタビュアー:実際にスープを試していただいたお客様から、のどごしが良いからこれだけは飲めますと喜んでいただいています。それはやはりお野菜の素材の良さ、自然栽培だからでしょうか。

和さん:そうですね。その野菜の持っている香りとか土のくささ、あとは本当にそれしかないですね。それをうまく引き出して、うまく調合して創り上げていかないと、余分に他のものを加えたりとかしないほうがいいです。
自然なままの自然な野菜で創る方が、一番いいと思いますね。

インタビュアー:和さんとお話していつも思うのですが、その和さんの真面目さや謙虚さが、一流になられた方の秘訣かなと思うのですが…。

和さん:いやーそれはわからないけど、一番原点に帰ったら、フランスですね。フランスというのは本当にそのものを捨てないでどういうふうに工夫して創り上げるか、ということが重要じゃないですか。
日本人の方はちょっと駄目だったら捨ててしまいますが、フランスになるとちょっと傷んだところを取ってからコンフィチュールジャムとかにしたり…その点で日本で努力しているときよりプラスになりますけどね…。
僕が行きましたのはブルターニュ地方ですね。

インタビュアー:いくつぐらいからフランスへ行かれたのですか?

和さん:僕はね、遅かったですよ。30ちょっとで行ったから…僕はそんなに長くは行っていないですよ。1年半か2年だけの経験ですね。

インタビュアー:そもそも料理人になろうとしたきっかけは?

和さん:僕はパイロットになりたくて東京に出てきたんです。そして、兄が、次兄が紹介してくれたのが東京の有名ホテルで、こういう風な仕事をやってみないか、という勧めがあって、入ったのがきっかけだったんです。子どもの頃から粉でパンケーキみたいなのを作ることはやっていましたから、そういう経験があるから抵抗感はなかったのですけど…。

インタビュアー:日本の第一線で活躍されたのちに、フランスで学びにいったきっかけは?

和さん:今まで日本でやってきたことが本当に正しいのかと、基礎を見習いしに行ったのです。イチから、これは日本でもこうだ、フランスでもこうだ、これはどういうふうにやっていくのか、基礎の原点が日本にいたときは中途半端だったから、それを確かめに、行かせてもらいました。幸せですよ。行かせてもらって。

インタビュアー:子どもの頃のお料理体験というのは?

和さん:小学校の2~3年頃から作っていましたよ。野菜炒めとか。ピーマンとか、山に行けば庭にちょっと植えてますからそれを採ってきて炒めたり、そういうことはしていました。今思えばそういうことが生まれつき好きだったのかもしれませんね…(笑)

インタビュアー:でないと続かないですよね。

和さん:うーん、嫌なことつらいこともありましたけど…でもそういうのが今思えば知識だけで料理を作るのではなく身体で覚えて料理を作る。それだからいつまで経っても基礎は忘れないと思うから、そこの違いかな。おじいちゃんと今の若いものの違いというのは。

インタビュアー:子供の頃にあった原点というのか、自然なままの素材を使って、料理を作れる喜びというのは?

和さん:嬉しい。嬉しい。ただそれだけですね。嬉しいですよ、無駄にできないから。自然に育ったものを余分なものつけるとかそういうことをしないで、ぜーんぶピュア。10%なものも99は使ってあげようとか、そういう気持ちで作っているから、それは本当にもったいないですよね。ただそれだけです。美味しいものを作るには。

Lastra MANAへの今後の意気込み

和さん:僕が今思っていることは、普通のみんなのスープではなくて、自分の味を持った味のスープを創りたいですね。だから、同じようなスープの味かな、ではなくて、これはこれだけどもなんかこの人のは自分のスープを創っているんだなというものを、創りたいです。そうしないと面白みがないというか、まだまだ勉強不足ですけど、そのようにやっていきたいですね。

インタビュアー:お客様から、他のものは食べられないけど、このスープは食べれるというお声を沢山いただいています。そのようなお声は醍醐味というか、誇りになるような気がしますが…

和さん:それはやっぱり創って美味しい、それだけで嬉しいです。この歳になって料理を創って、お客様が食べてくれるというのは一番うれしいことです。自分はやれると思わなかったですから、それをMARTHさんが機会を与えてくださって、それで料理を専属で提供できるというのは、とてもいいですね。今が一番楽しいです。

インタビュアー:ありがとうございました。

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川村和敏

一流ホテルのシェフを経て独立し東京・麻布でレストランを開いたのち、那須御用邸の近くにてレストランを開業。その味は皇室の方々に深く愛されるほどでした。

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